「女らしさの解剖学」女をハダカにしてみたら? 其の二十七『化粧する女たち』
女は素顔になるのをためらった。
スッピンの自分を見て、彼がなんて言うか……失望させるようで怖かった。だから、ベッドインしても、ぜったい化粧を落とさずにいようと思った。(ブログ発の本!『トゥルーSeX』)
そう決心して、約束の時間まで、丁寧に化粧をした。
とくに目の化粧に時間を割いた。大きくぱっちりした目に見せたくて、マスカラを何度も塗って、アイラインも丁寧に描いた。そしてアイシャドーを濃厚につけた。
そして女は、今の彼と初めてホテルに行った。
男はホテルに入るなりに、部屋を暗くして、それから女をベッドに倒した。そして、せっかちに女を抱いて、さっさといってしまった。
女は寂しくて、もういちど欲しかったから……男のカラダに絡みついた。
すると男はベッドサイドのライトを付けて、こう言った。「やるときくらいは、その厚化粧なんとかならないのか?」
女はむっとして、言葉を返した。「あなたにキレイって言われたくて、それで念入りにお化粧してきたのよ!」
男はため息まじりにささやいた。「チッ、いいさ……部屋を暗くすれば、俺の息子も文句は言わねぇ……」
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女は古代から化粧することを忘れなかった。
眉があったり、なかったり、時代によって化粧法は大きく変化してきた。
眉や唇はともかく、まぶたや目の周囲を念入りに化粧するのは、現代になってからの傾向だ。
とくにこの十年ほどで、目の周囲の化粧は、いちだんと濃くなった。それは、昭和のファッションの再来を思わせるものがあるが、当時の何倍も濃く派手になった。
顔じゅうが目と言ってもかまわないほど、目を誇張した化粧は、野生動物の『警戒色』を思わせるものがある。
警戒色とは――たとえば猛毒をもった虫や植物の多くは、ひときわ鮮やかな色をしており、それによって敵に警告を発する。また、一部の蝶は、大きな目形の模様を持ち、それによって敵に警告を発する。
ケバケバの色や、誇張した模様で、敵を寄せ付けぬようにして、自分を守るのである。
女は、男を惹きつけたくて化粧をしているはずなのだが、じつは現代の目化粧は、その心理に矛盾すると思えなくもないのだ。
「近づくと毒にあたるわよ!」と男を威嚇しているようなものだ。
平安時代の女も、江戸時代の女も、目は線のように細いのがよかった。
平安時代も江戸時代も、女といえばSeXというほど、恋愛が花盛りだったのだ。
どこを見ているのかわからぬ切れ長の目は、自己主張のない、受身の女を思わせる。そして、オルガスムスにあるときの目つきそのものなのである。
もし、男に十分愛されていないと,現代女が不平を言うのであれば、それは男だけの罪ではないのかもしれない――そう思えてならないのだ。
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