百六十二話・女のカラダの不思議『なぜ、女は挿入でオルガスムスに達しないのか?』
(小説編)女は、彼氏に笑顔を作って見せた。空虚な心をごまかすように、微笑んで見せた。
だって彼を愛しているのだ……寂しさに堪えかねて、しばしば妄想に駆られる、そんな自分がいけないのだ。
妄想それは、もっと激しいSeXを心に描くこと。
過去に付き合った男は、欲求の強い『好き者』だった。一度では満足できずに、一晩のうちに三度、四度と求めてきた。すぐに立つのも脅威的だったが、しつこさも驚異的だった。
はじまりの愛撫も徹底していたし、終わった後のクンニリングスは失神しかけるまで止めなかった。
だから、女はとにかく何度でもいった。フラフラになるまでいった。クリトリスの愛撫でもいったし、挿入でもいった、とにかく『いきっぱなし』のSeXだった。
けれども、その男は女一人では満足できないほど欲求が強かった。交際相手が自分一人ではないと知って、すぐに男と別れた。そして今の彼氏――『マジメで、満たされない男』と出会った。
悲しくも、今の彼氏とのSeXでは、挿入でいくことができなかったのだ。
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(解説編)とにかくSeXにおいて『中でいく』ことが問題にされる。
この『中でいく』という問題でさえ、女と男がイメージしていることにギャップがあるようでならない。
男、とくに性科学者が考える『中でいく』というのは、膣内を刺激し、それによって『膣内がオルガスムス』に達するとを意味しているようだ。
つまりGスポットの有効性を確かめたいということなのだろう。せっかく発見したGスポットだから、その性能を調べ上げなければ決着がつかないのだろう。
女には、クリトリスがあり、そして膣がある。とくに、膣は目で確かめることができない。男には、摩訶不思議な構造物なのだ。
心理学の大家・フロイトに始まり、クリトリスでいっているのか、膣でいっているのか、男たちはそれに膨大なエネルギーを注いできた。
ところが女にとっては、Gスポットは、男が提唱した“神話”にすぎない。
そもそも女が気にかけているのは、クリトリス(外)なのか、膣(中)なのかではなく、SeXのさい挿入で、いけるかいけいかにあるのだ。挿入によって、確実なオルガスムスに達せるか否かということなのだ。
それだけ多くの女が、挿入ではいけずに、寂しい思いをこらえているのだ。
女はヴァギナのどの部分でいっているのかなど、ほとんど気にかけない。たとえば、男は噴射すればすなわち絶頂であるが、その際に息子の、どの部分が最も感じているかなど問題にされることがない。であるのに、女のことに限って、どの部分でいっているのかを、なぜしつこく調べ上げるのだろう。
科学でさえも、男主体であり、男の興味で、女が解剖されているのだ。
女自身、どこでいっているかなどわからない。男の作った『Gスポット神話』に右往左するにはするが、結局、知覚できないのだ。
女が知覚できないのに、それを調べる根拠は何なのだろう?
仮にデータで結論を出せたとして――
データを拠り所に女を刺激してみたとて、女は、きまってこう答えるのだ。
「どこでいってのかわかりません。いってるような、いってないような、そんな感じです」
より良きSeXライフを女に、というなら問題にするのは「何処で」ではなく、「いけるいかいけないか」それを論じ、研究すべきなのだ。
女はオナニーでなら確実にいける。クリトリスを刺激すれば一発だ。ところがSeXとなると、だんぜん曖昧になる。
『膣への挿入は、女の感受性を鈍らせ拡散する』これが結論なのだ。Gスポットがあるかないか、その何倍も明瞭な結論なのだ。
なぜ、このような皮肉なことが起こったか?
それは最も敏感な部分――クリトリスが外に突出し、男の一物と交合する場所から外れてしまったことにある。
神は、女をSeXではいかせないように創られたというわけだ。ならば、それはなぜか?
女は常に欲求不満で寂しくなるように設計されているのだ。
もし、一回のSeXで、女が必ずオルガスムスに達し、満足できたなら?
人類は多様性を失い、そしてまた人口も増えなかっただろう。
女は、男に抱かれれば抱かれるほど寂しくなり、新たなSeXが欲しくなるように設計されているのだ。
ヒットしたスナック菓子の味付けのようなものだ。ヒットの裏技は、薄めの味付け。欲求不満を起こさせる味覚だからこそ、もっともっとと刺激を求め「やめられない止まらない」で、気がつくと袋は空っぽ。
一部の科学者は、男こそがSeXを終えた後から欲望にかられるフラストレーションの動物だ云々と説ていいる。これも、まったく男主体である。
男がそうであるなら、SeXで確実にオルガスムスに達するわけではない女たちは、それ以上に寂しくなっているのだ。
と――科学者に「いちゃもん」をつけても始まらない。
では、どうすべきか? 長くなったので次回に続くである。
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