第百十一話・ジャパニーズSeX『女の人生はオルガスムスで変わる』好色五人女と性愛
沙代子は、今日もラブレターを書いた。
書いたと言っても自分のためではなく、夫が雇っているバイトの女の子のために代筆をしたのだ。
その女の子が狙っているのは、夫の店で雇われ店長をしている茂だった。茂はなかなかマジメで、しかも美形だった。
茂は、女の子のことを相手にしていなかった。だから女の子に頼まれ、沙代子が情熱的な手紙を代筆して渡した。
初めは無視していた茂も、三度目の手紙となれば、ついに根負けしたらしく、それなら女の子の部屋に遊びにいくと返事をくれた。
せっかくの返事に、今度は女の子がどうしたものかと迷いだした。度々無視されてきたので、「いまさらという感じ」と言い出したのだ。それなら、沙代子が代わりに部屋にいて、茂を驚かせてみようと話が盛り上った。
そうして……沙代子は部屋で男が来るのを待った。しかし、待っているうちに眠りこけてしまった。
遅れてやってきた茂は、女の子が眠っているのかと顔を覗き込んだ。するとそれは、沙代子――自分が密かに恋焦がれてきた人妻だった。
茂は、どうしようもなく切ない気持になった。いままで蓄積してきた情欲が、いっきに弾けた。茂は、沙代子のショーツを静かに下ろした。そして花弁を撫でた。
沙代子は、ゆっくり目覚めて、茂を見た。
「声を出さないで。好きなんだ、僕を受け入れてくれるね」茂がささやいた。
沙代子は事態を飲み込んで、カラダを硬くした。その沙代子を、茂が強く抱きしめた。
あまりの強さに、沙代子は息が止まりそうになった。そして同時にカラダの芯が熱くなった。
自分のカラダはどうしたのだろうと思った。茂を拒むことが出来ずに、反対にヴァギナが濡れだした……沙代子は、新しい自分に巡り会ったような気がした。
茂は、力強く挿入した。たちまち沙代子の中に強烈な快感が沸き起こった。今まで味わったことのない、天にも昇りそうなオルガスムスが幾度も沸き起こった。
茂が最後に自分の中でいったとき、沙代子は「この男を愛している」と直感した。頭で考えてもその理由がよくわからなかったが、たしかにカラダがそうだと感じたのだ。
翌朝、沙代子は今までの生活を捨てようと決心した。
全てを捨てて、新しい自分になろうと思った。
茂と初めて味わったオルガスムスが、沙代子の人生を塗り替えたのだ。
相性の悪い夫に縛られてきた自分、そして夫の仕事の手伝いに縛られてきた自分。それを捨てて、もっと自由な女になろうと決心したのだ。
上の即興小説は井原西鶴の『好色五人女』の『おさん』を現代のキャラクターに演じさせた、いわばパロディである。
おさんは、それまでしっかり者の町商人の妻として、夫を支えてきた。ところが、ひょんなことから、店を任せている茂右衛門と性交をしてしまう。
おさんは、それをきっかけに、それまでの質素で堅実な妻とは別人の「愛一筋の女」となり、茂右衛門と駆け落ちをする。
それは、夫との性交では知ることの出来なかった、オルガスムスに他ならないだろう。
女にとって、男に抱かれて中でいくということは、今まで執着してきたすべての物を捨てても構わないほど、大きな幸福感をもたらすものだ。
――オルガスムスは女を勇気づけ、今までありえなかった新しい生き方を教えてくれることさえある。
※ ※ ※
さて、来年は、どんなオルガスムスに巡り会えますやら……
今年八月にスタートしたブログでした。八月~十一月頃までの「性科学」の記事は、新刊本『ツゥルーSeX』(女と男の性愛のギャップを埋める本)として生まれ変わります。
それ以降の『ジャパニーズSeX』古典にみる日本人の性観は、来年に続きます!
2007年12月31日 岩崎るりは
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