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2007年12月

第百十一話・ジャパニーズSeX『女の人生はオルガスムスで変わる』好色五人女と性愛

 沙代子は、今日もラブレターを書いた。

 書いたと言っても自分のためではなく、夫が雇っているバイトの女の子のために代筆をしたのだ。

 その女の子が狙っているのは、夫の店で雇われ店長をしている茂だった。茂はなかなかマジメで、しかも美形だった。

 茂は、女の子のことを相手にしていなかった。だから女の子に頼まれ、沙代子が情熱的な手紙を代筆して渡した。

 初めは無視していた茂も、三度目の手紙となれば、ついに根負けしたらしく、それなら女の子の部屋に遊びにいくと返事をくれた。

 せっかくの返事に、今度は女の子がどうしたものかと迷いだした。度々無視されてきたので、「いまさらという感じ」と言い出したのだ。それなら、沙代子が代わりに部屋にいて、茂を驚かせてみようと話が盛り上った。

 そうして……沙代子は部屋で男が来るのを待った。しかし、待っているうちに眠りこけてしまった。

 遅れてやってきた茂は、女の子が眠っているのかと顔を覗き込んだ。するとそれは、沙代子――自分が密かに恋焦がれてきた人妻だった。_1

 茂は、どうしようもなく切ない気持になった。いままで蓄積してきた情欲が、いっきに弾けた。茂は、沙代子のショーツを静かに下ろした。そして花弁を撫でた。

 沙代子は、ゆっくり目覚めて、茂を見た。

「声を出さないで。好きなんだ、僕を受け入れてくれるね」茂がささやいた。

 沙代子は事態を飲み込んで、カラダを硬くした。その沙代子を、茂が強く抱きしめた。

 あまりの強さに、沙代子は息が止まりそうになった。そして同時にカラダの芯が熱くなった。

 自分のカラダはどうしたのだろうと思った。茂を拒むことが出来ずに、反対にヴァギナが濡れだした……沙代子は、新しい自分に巡り会ったような気がした。

 茂は、力強く挿入した。たちまち沙代子の中に強烈な快感が沸き起こった。今まで味わったことのない、天にも昇りそうなオルガスムスが幾度も沸き起こった。

 茂が最後に自分の中でいったとき、沙代子は「この男を愛している」と直感した。頭で考えてもその理由がよくわからなかったが、たしかにカラダがそうだと感じたのだ。

 翌朝、沙代子は今までの生活を捨てようと決心した。

 全てを捨てて、新しい自分になろうと思った。

 茂と初めて味わったオルガスムスが、沙代子の人生を塗り替えたのだ。

 相性の悪い夫に縛られてきた自分、そして夫の仕事の手伝いに縛られてきた自分。それを捨てて、もっと自由な女になろうと決心したのだ。

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 上の即興小説は井原西鶴の『好色五人女』の『おさん』を現代のキャラクターに演じさせた、いわばパロディである。

 おさんは、それまでしっかり者の町商人の妻として、夫を支えてきた。ところが、ひょんなことから、店を任せている茂右衛門と性交をしてしまう。

 おさんは、それをきっかけに、それまでの質素で堅実な妻とは別人の「愛一筋の女」となり、茂右衛門と駆け落ちをする。

 おさんを変えたものは何だったのか?  

 それは、夫との性交では知ることの出来なかった、オルガスムスに他ならないだろう。

 女にとって、男に抱かれて中でいくということは、今まで執着してきたすべての物を捨てても構わないほど、大きな幸福感をもたらすものだ。

 ――オルガスムスは女を勇気づけ、今までありえなかった新しい生き方を教えてくれることさえある。

※ ※ ※

 さて、来年は、どんなオルガスムスに巡り会えますやら……

今年八月にスタートしたブログでした。八月~十一月頃までの「性科学」の記事は、新刊本『ツゥルーSeX』(女と男の性愛のギャップを埋める本)として生まれ変わります。

 それ以降の『ジャパニーズSeX』古典にみる日本人の性観は、来年に続きます!

 来年も変わらぬご支援お願いいたします Img_0112

   2007年12月31日 岩崎るりは 

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第百十話・ジャパニーズSeX『女が中でいくために』源氏物語より竹取物語になるべし

 女は、またベッドの上でウソをついた。男は荒い息を吐きながら「いったか?」と聞いた。だから女は「いく、いく……」と声を出して、のけぞって見せた。それに男は満足したように、最後のピストン運動をして、自分だけいった。

 女は、男を見送った後、なぜ自分は正直になれないのだろうと思った。カラダが寂しがっているというのに、どうしてウソをついて演技するのかと悲しくなった。

 男に綺麗と言われたくて化粧をし、男に可愛いと言われたくて衣装を選ぶ自分。男に気にいられたい自分と、男に正直になれない自分。この二つの自分が、寂しさを作っているのだと思った。

 でも、愛があるのだから仕方ないと思った。愛を失わないために、多少の演技をしても仕方ないと思った。

 街でみつけた超セクシーな下着。一度でいいから身に着けてみたいと思った。それを身につけたなら、どんなに感じるだろうかとワクワクした。けれども彼氏が何ていうか……それを思ってあきらめた。それから前の彼氏とした拘束プレーを、今の彼氏とやったならどんなに感じるかと思った。思ったけれど、今の彼氏はマジメが取り柄で、そんなことを言ったら呆れられるだろうと、あきらめた。(Photo/Furuse Model/Luliha)

 男の求める自分を見せて、彼氏の喜ぶ自分を演じる、たとえウソをついても男の求める女でいようとする、愛を大切にする自分……けれども、男とのSeXで『中でいく』ことがない――挿入でオルガスムスに達せない、寂しい自分。

 女は、その悲しさと寂しさを打ち消したくて、今夜も自分で自分をいかせることにした。 

 鏡の前に椅子を持ち出して、ハダカのままそこに腰掛けた。そして乳首を指でなぞった。そうして自分のカラダを愛撫する自分を鏡で眺めた。なんて綺麗なのだろうと思った。思ったのと同時に、ヴァギナが雫を垂らして、いやらしい音をたてた。

 それから花弁を左指で開いて、陰核を剥き出しにした。その小さなポッチに、マッサージオイルをつけた。そうしてクリトリスを右指で愛撫して、喘(あえ)いでいる自分を鏡で眺めた。

 最後に椅子の縁に、クッションを二つ折りにして置いて、そこにヴァギナを押し付けた。すると一気に快感が昇りつめ、カラダの芯に律動が走った――愛する男の中でいけなかった自分が、今夜も自分で自分をいかしたのだった。

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 上の即興小説が、『源氏物語』か『竹取物語』かといえば、源氏物語であり、源氏物語の女の中でも、おそらく『紫の上』である

 かぐや姫というヒロインをもつ竹取物語。光源氏というヒーローをもつ源氏物語。いずれも恋愛をテーマにした古典文学である。そして、現代でも親しまれている華麗な物語である。

 女主人公のかぐや姫に、婿候補が集うのが竹取物語。男主人公の光源氏に、妻や妾や不倫相手が集うのが源氏物語だ。

 この二つの物語の相違は、主人公が女であるか男であるかの違いというのではない。

 源氏物語に登場する数多くの女たちは、みな光源氏に気に入られたがっている。そして光源氏と関係を持ってからは、光源氏の浮気な態度にさえも、正直な気持ちをぶつけない。「忍耐が美徳」という、ちょっと前の「日本女性の鏡」のような態度をみせる。

 一方で、竹取物語に登場する数多くの男たちは、かぐや姫に気にいられたくて、難題を吹きかけられても、文句も言わず実行する。

 この相違は何の違いなのかといえば、社会構造の違いである。竹取物語は、女の実家の経済力と権力を頼りに男がプロポーズする(母系社会)を映している。源氏物語は、それがしだいに崩れ、次なる時代(武家社会=父系社会)への移行期であることを映しているのだろう。

 源氏物語の中でも、紫の上は、光源氏が女三宮という新妻を迎えいれた後に、「自分は愛という頼りのないものを頼りにしてきたのだ」と、愛の儚(はかな)さを認識する。

 愛のために自分を取り繕い、我慢する女――けれども、愛は手に取ることができない、不確かなものなのだ。その愛のために、女は様々なことを黙秘してきた。女の真実は語られてこなかった。_1_3

 男中心の社会の中で、男が求める女像が構築され、女もそれを否定せずに「いったふり」「男が求めるオナニー」「男まかせの受身女」を演じてきた。それが、すでに平安中期の源氏物語に見られるのだとしたら、女は長いあいだ我慢してきたものである。

 愛する男とのSeXで、もっと感じるために何が必要か?

 それは、女がSeXでもっと正直になって、自分の望みを男に伝えることである。

 たとえそれが、かぐや姫のような難題だったとしても、男は、その積極的な女の姿に女を惚れ直して、ハッスルしてその願望を叶えてくれるだろう。

 中でいけないというのであれば、男の前で正直な姿のままのオナニーを見せて、それから挿入すれば簡単だろう。小説の女のように、男が去った後に自分で自分いかせるより、もっと満たされた気持になれるのは間違いないことである。(百十一話『女の人生はオルガスムスで変わる』を読む⇒ここをクリック

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猫だって笑う―100倍可愛くなる猫の教科書 (小学館文庫 Y い- 15-1)

著者:岩崎 るりは

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アンケート投票発表!『女体の美』芸術か?刺激か?

『あなたは裸婦写真に、まず何を求めますか?』

アンケート投票結果発表!

回答総数267票(多くの皆様のご協力に感謝いたしますξ^ο^ξ♪”)

男155票(人)

女112票(人)

男⇒思わず感じてしまう刺激的な写真が好き29%

男⇒美しくて芸術的な写真が好き        28%

女⇒思わず感じてしまう刺激的な写真が好き 21%

女⇒美しくて芸術的な写真が好き        20%

男女とも、刺激的な写真が、わずかに優勢。

結論1 女も男も、裸婦写真への期待値はほぼ同じである。

結論2 女も男も、芸術的な写真が好きな人と、刺激的な写真が好きな人は、「刺激的」がわずかに多いものの、ほぼ半々の割合といえる。

ただし―― 言葉の表現上では、男も女も同じであるものの、男の言う「刺激的」と、女の言う「刺激的」は、必ずしも一致しないはずである。

そこが問題(?:?゛)

女と男のギャップを埋めるために――ブログは、まだまだ続きます\(ёⅴё)/ Img_0112_2

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第百九話・ジャパニーズSeX「愛あるSeXのために」古典パロディ『とはずがたり』解説編

(其の一、あらすじ)女は、夫と愛の見えな虚しい毎日をすごしていた。その中で、唯一、自分が生きていると実感できるのは、スリリングな情事の最中だった。Img_8854_1

 其の一・小説編を読む⇒ここをクリック

(↓其の二・解説編始まり)

『其の一』の即興小説は、鎌倉時代の古典文学『とはずがたり』を現代のキャラクターに演じさせた、いわばパロディである。

『とわずがたり』は、受験勉強のさいに触れる程度で、知名度のわりに、実際に読まれることの少ない古典の一つだ。この物語りを一口に言ってしまえば、女の浮気物語、または男遍歴の書といった感じである。

 小説中の『女』は、古典中のヒロイン『二条』にあたる。また、二条と情事を持った男『有明』は、古典中の『有明の月』にあたる。二条という名の女は、後深草院(天皇)の妻である。

 二条は天皇(院)の妻でありながら、男遍歴を重ねていく。後深草院の病気平癒の祈祷に呼ばれた有明の月が、二条と密かに交わるシーンなどは、かなりスリリングである。

 帝(みかど)を軸とした恋愛物語であることから、しばしば『源氏物語』を連想させる。

 けれども、『源氏物語』がエロ場面でさえも情緒深く読めるのに対し、『とはずがたり』はエロが情事のままで余韻が残らない。たとえば、後深草院が、二条の子が自分の子でないことを知っても、嫉妬することもなく、醒めた態度を見せる。

 それはなぜか?

『源氏物語』は、貴族が政権を掌握していた、本当の意味の帝の時代である。それに比べて『とはずがたり』は、鎌倉幕府(武家)が政権を握っており、貴族たちは形式的な存在であった。

 虚しい存在であるから、空(うつ)ろな恋に、生きる悦びを見つけようとする。しかし、しょせん空ろな恋であるから、心は満たされず、また次の恋に堕ちる。

 空ろな恋を続ける『とはずがたり』の二条は、寂しさを癒すために男を求めても、人性を重ねるべき愛を男に求めてはいない。

 SeXから愛を引き算すれば、快楽と虚しさが残る。

 愛のないSeX、それは動物の交尾であるともいえる。発情期のメスが、オスにヴァギナを向け、それによって繁殖活動を行う。メスとオスの間に、一瞬の愛着ができたとしても、本質的に愛があるから交尾するというのではない。

 愛あるSeXをする動物は、人間だけなのであり、人間が人間らしくあれる唯一の時でもあるのだ

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 空ろな時代を背景にした恋物語には、『愛あるSeX』が欠けている。だから『とはずがたり』には、余韻が少ないのではないかと思う。

 とはいえ『愛あるSeX』は、口でいうほど簡単なことではない。愛は、かえって女と男を複雑にして、SeXから遠ざけることもある。

 では『愛あるSeX』のために、女と男はどうするべきか?

『とはずがたり』を反面教師に、その答えを探すならば――

 女が男に愛されるために、女は社会に多少なりとも関心を払うべきだろう。可愛いだけの空ろな女、それでは男も満たされることが少ないだろう。

 たとえば、“銀座のママさん”がお金のために愛想を売っていると知りながら、それでも男が嬉しげに通うのは、『男の愚痴』『社会の愚痴』を、上手に聞いてくれるからである。ママさんに限らず、男にもてる女というものは、何かしら社会的な意見を持った、視野の広い女であることが多いものだ。

 また同様に、男が女に愛されるために――男は、女の些細な変化にも気がつき、心配りをみせる男になることであろう。

 女は、どんなときにもシグナルを送っているものだ。男に、自分の気持を知って欲しくて、うずうずしているものだ。

 女の些細な気持をわかってくれる男。それは、どんなに財力を持った男よりも、愛しく大切に思われるものだ。

 そのうえで女と男が心を開いて、カラダを合わせて愛を確かめ合う。それでこそ最高に心地よい『愛あるSeX』ができるのではなかろうか。

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猫のなるほど不思議学 知られざる生態の謎に迫る (ブルーバックス)

著者:岩崎 るりは

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第百九話・ジャパニーズSeX「愛あるSeXのために」古典パロディ『とはずがたり』

(其の一・小説編)女は、新たな秘密を持ってしまったことに、内心怯えていた。誘惑に負けて、カラダを許してしまったのだ。夫に気付かれたら、明日の生活の場を失う。そうとわかっていながら、誘惑に負けたのは、今回が初めてではなかった。_1

 今度の相手は、夫の研究所に勤める独身男の有明だった。一見、勉学に熱心な、堅物(かたぶつ)。しかし、それに似合わぬ激しい情欲を見せる男だった。

 有明とはじめて関係を持ったのは、研究所仲間で、渓流に出かけたときのことだった。夫や他の仲間は、念願叶っての渓流釣に夢中だった。バーベキューの係を名乗り出た有明と、女だけがワゴン車に残った。

 有明は、二人きりになるのを待ったように言った。

「どうせ浮気してるのだから、今さら断る理由などないだろ」

「私が遊んでいるって言いたいの?」

「みんな知ってるのさ、浮気な妻を持った男の愚痴、飲めばその話だから」

「主人が?」

「そう、子供も自分の子じゃないだろうって悟ってましたよ」

「あの人……」

「浮気しても怒りもしない、穏便な夫を持たれて幸せですね。だから、安心して、さぁ、僕が誰より可愛がってあげるから」

 有明は、そう言うなり女をシートに倒した。女は抵抗しなかった。心でダメと思ってみても、すでに女陰(ほと)はしっとり濡れていたのだ。

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 有明は女のパンティを下ろし、太腿を開いた。そしてクリトリスを吸った。

 女は強烈な快感にみまわれ、思わず声を出しそうになって、口に指をあてがった。

 挿入して終わるまで、見つかるのではないかという恐怖心、それに比例するかのように激しい快感を味わった。

 女は、最後の瞬間に男が離れようとするのを拒んだ。男に抱きついて、最後まで放さなかった、だから男は中でいった。

 今までの情事も、有明のときと同じだった。誘惑に負けてしまう。そして交わってしまえば、本気になって最後の瞬間まで離れられない。だから、やはり子供は夫の子ではなかった。

 うまく取り繕ってきたつもりだったが……気付いていても何も語らず淡々と一緒にいる夫に、いまさらながら、愛の欠片(かけら)も見えないと思った。

(Photo/Furuse Model/Luliha)

 女の心の救いは、情事のすべてに罪悪感がなかったことだ。

 夫の経済力に全てを依存した妻、けれども夫の仕事の愚痴を聞く術もない、社会に無関心な妻。

 そして同時に、妻に無関心な夫、何を思っているかわからぬ夫。

 そういう女と男の、愛の見えない虚しい毎日。その中で、唯一、自分が生きていると実感できるのは、深いオルガスムスにあるとき、スリリングな情事の最中だったのだ。(其の二・解説編を読む⇒ここをクリック

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猫のさとり―深訳DNA世界の般若心経 (SUN-MAGAZINE MOOK)

著者:古瀬 惠一,岩崎 るりは

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第百八話・ジャパニーズSeX『可愛くセクシーな女になるために』パロディ好色五人女

 女は、あの人は、どこか違っていると思った。あの人、それは過去に女性関係でもめごとを起こし、前の会社をクビになった男、清也だった。だから周囲の人たちは、あの男だけは止めたほうがいい、と言った。

 女――夏子の父親は、会社を経営していた。そして、夏子はその会社で経理を担当していた。清也は、腕を見込まれて、例外的に中途採用された社員だった。

 正社員はほとんどが男で、だから申し込まれる機会も多かった。けれども、どれもイマイチピンと来なくて、断るばかりだった。

 夏子は、恋が嫌いなわけはなかったし、男が嫌いなわけもなかった。むしろ恋も男も大好きで、憧れだった。しかし憧れがあるぶんだけ、手頃な男には魅力を感じなかった。

 けれども清也だけは、他の男と違って見えた。女でもめごとを起こしたと聞いて、なるほどと思った。女を惹きつけるセクシーな男だと思った。

 だから、夏子は清也に自分の気持を打ち明けた。けれども清也は、二度と女性関係で仕事を傷つけたくない、まして社長の娘とあっては、イエスとは言えないと拒んだ。

 あきらめ切れずに、なんども清也に声をかけた。けれども、いつでも答えは同じだった。

 バレンタインデーになった。パートの女性たちの一番人気は、清也だった。それを見るにつけても、夏子はぜったい清也をモノにしたいと思った。

 清也が残業する月末に、自分も用事を作って残業をした。仕事が終わってから誘っても、どうせ清也は乗ってこないだろうと思った。だから、仕事中に仮病を使った。二人だけになった事務所で、気分が悪いと背中を丸めた。

 清也は、応接ソファまで運んで横にしてくれた。その清也の胸に、夏子は抱きついて言った。「私の気持、わかってるでしょ?」

 清也は、女の柔らかな感触に、抑え続けていた色情が一度に込み上げてきたようだった。けれども、パンティを脱がして、やるだけやって終わりなどということはなかった。

 清也は唇と舌で、夏子の唇を愛撫していかせた。

 そして清也はささやいた。「どれだけ俺のことが好きか証明できるか?」

 夏子が返事に困っていると「俺のことを思って、自分で自分を可愛がったことがあるだろ?」と言った。

 だから夏子は『ウン』と童女のように首を振って、自分からパンティを下ろした。そして「こうして思ってきた……」と、女陰(ほと)を愛撫してみせた。

 清也は「そのまま自分でいってごらん」と言った。だから、夏子はオルガスムスに辿り着くまで、陰核を念入りに愛撫した。

 オルガスムスに辿り着いて喘(あえ)いでいる夏子を、清也は抱きしめた。そして「好きだよ」と言った。夏子は嬉しくて涙が出そうだった。その夏子に、清也は初めて挿入した。

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 先の即興小説は、井原西鶴の『好色五人女』を現代のキャラクターに演じさせた、いわばパロディである。

 夏子は、好色五人女に登場する『おなつ』であり、清也は『清十郎』である。

 物語中で、おなつは「色好みの女」として登場する。

 色好みの(好色の)女といえば、男漁(あさ)りをする淫乱女と思うのは、現代人の思い込みである。色がエロとなり、下半身の専門用語になったのは現代の風潮であり、少なくても江戸期には「色」は、人間の生き様を含めた、人生の中の性(人性とでも言うべきか)であったのだ。

 性は快楽追求だけが性ではない。性を楽しむことは、けっしていやらしいだけの、後ろめたいものではない。繁殖と切り離し、交尾そのものを楽しめるのは、人間という動物に与えられた特殊能力であり、性を追求することは、人間という動物を知り、人性を豊かにすることにつながるのだ。

 きっと、私の考えに井原西鶴も「然(しか)り」とうなづいてくれるだろう。そして、西鶴は、こう付け足すだろう。

「おなつのように、女は積極的なのが、可愛くてセクシーだ。それから男は、清十郎のように、女経験を積んだのが粋だ」と。

 日本の女たちよ、好きな男がいるなら積極的になって、可愛くセクシーに“人性”を楽しんでみてはいかがだろう。 

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第百七話・ジャパニーズSeX『生かすも殺すも女しだいの可愛い男』(パロディ源氏物語・其の三)

(あらすじ)空子は、光氏と一夜限りの関係を持った。二度目に光氏が空子の部屋に忍び込んだとき、光氏は肉欲に負けて、義娘の美萩を抱いてしまう。

★其の一を読む⇒ここをクリック  ★其の二を読む⇒ここをクリック 

(其の三・解説編↓はじまり)

 先の小説は、源氏物語を現代のキャラクターで演じさせた、いわばパロディである。光氏とは光源氏のことであるし、空子は空蝉(うつせみ)、美萩は軒端の萩(のきばのはぎ)である。

 女にモテモテの光源氏は、よりどりみどりで女を抱けた。しかも、上流階級の美しく、リッチなお嬢様ばかり。はじめはそれも楽しいが、人間たるもの同じ刺激にはすぐに飽きて、刺激が刺激でなくなる。これは、女性の香水がしだいにきつくなる過程にも似ている。そうなれば、どうなるか?

 光源氏が「やりたい」女は、夫がいる女。それから中流の女、そしてブスな女。そして自分に無関心な女なのだ。

 光源氏は、女経験を重ねれば重ねるほど、どんどん女の好みがマニアックになっていくわけだ。マニアックな光源氏の理想の女、それが空蝉であった。

 空蝉は、特別美しくもなく、そして老いぼれ受領の後妻であり(地方の中流の女であり)、しかも、光源氏にのぼせたりもしない。

 自分に関心のない女など今までなかったモテ男としては、ぜひ寝てみたい美味しそうな女だったわけだ。だから光源氏は、夫の家に招かれながら、厚かましくも妻を寝取ってしまう。

 世にときめく光源氏、その正体は、ただやりたいだけの悪い男だったのだ。この悪い男は、再び空蝉の部屋に忍び込んでゆく。そして、そこにいた軒端の萩(肉感的な美人)を、「せっかくだから一発やらせてもらいます。でも、これは遊びだよ」と、つまみ食いをしてしまう。(Photo/Furuse Model/Luliha)

 光源氏は、ここまで悪いスケベ男だったわけだ。なのに女に嫌われることなど、けっしてない。(悪女に男が集うかのように、悪い男も平凡な男よりずっともてのるものだ)

 じつは、源氏物語は、このような男本意のエロ本であるわけである。それなのに、不朽の名作であるところが凄いわけだ。

 悪い男のエロ物語を名作に仕立てたもの、それは何か? 

 それは、男の性欲をありのままに遠慮なく表現していながら、それが紫式部という女が書いた物語であるところが大きいだろう。

 よくもここまで男をじっくり観察したものである、客観化したものである。光源氏は、男なら誰でも持っている野心とスケベ心を、正直に表現し、行動することが許されたキャラクターなのだ。

 紫式部は、男という生物が、とても可愛い動物であることを知っていたのだろう。

 亭主のある女だからこそ寝てみたい、自分の物にしたくてウズウズする――野心を抑えきれない幼稚な動物。

 そして視覚刺激に弱い――セクシーな女を見れば正直に勃起してしまう動物。

 いったん勃起すれば『下半身に人格なし』になる――理性より性欲が勝ってしまう弱い動物。それが男なのだ。

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 紫式部は、男がそういう、えげつない動物と知りながら、それでも愛着をもって優美に描写しているのだ。

 紫式部の、女としての器の大きさが、男本意のエロ本を、不朽の名作に仕立てたのではないかと、私は思う。

 人間以外の動物には、浮気や不倫などという言葉は必要ない。その時その時で、自分にヴァギナを向けたメスと一発やる。これが動物として正しい行為であり、人間のオスが浮気したとしても何も不思議ではないのだ。

 そういう人間のオスと向き合ってゆかねばならない人間のメスは、ならば不幸か? いいやそれは違う。

 紫式部のように器の大きな女でいるなら、男など、小説の主人公にして遊べてしまう可愛い動物であり、生かすも殺すも女しだいなのだ。

 日本の女たちよ、紫式部のような大きな心で男に接し、もっと人間のオスを楽しんでみてはいかがだろうか?

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猫のなるほど不思議学 知られざる生態の謎に迫る (ブルーバックス)

著者:岩崎 るりは

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コラム 男が消滅すると女のファッションはもっとセクシーになる?

 恋する女たちは、クリスマスにどんなファッションを選んだのだろう。可愛い? 綺麗? それともセクシー? 少なくても「男を魅せる」ということを頭に置いて選んだことは間違いないだろう。

 淫らな姿を見せれば興奮して欲情する「男」という生物がいる。女のファションは、その男の性欲をキーワードにして進化してきた。どんな衣類でも、女が肌をあらわにすれば「やりたくなる」男という動物を軸にして考えられてきたのだ。(Photo/Furuse Model/Luliha)

 学校の制服などは、男の性欲を打ち消すためにデザインされた。それに反発するかのように、女子高生はスカートの丈を短くつめ、ブラウスの胸をはだけて見せる。

 見せれば男が刺激を受ける。だから公式の場、お堅い場では、見せてはいけないのだが、女たちは、どうしても見せずにはいられないのだ。

 ならば、もし、世の中から男が消滅し、女だけになったら、ファションはどうなるか? 機能性だけを重視した衣類になるのだろうか? 温かい、涼しい、動きやすいことで、デザインがきまるのだろか? それは、ちょうど現在の男のファションのようであり、女たちの服装は、もっと“男勝り”になるのだろうか?

 いいや、それは違うと思う。

 それを見て欲情する男という生物がいなければ、女は何も遠慮がなくなり、もっと自由に自分の好みの衣類を身につけるのだろう。 

 自由に自分の好みを表現するとはどういうことか? 女は見せたい動物なのだ。見られる動物として美しくセクシーに進化してきた動物なのだ。だから女だけの世の中になれば、今より、ずっと淫らな服装が流行し、超刺激的な世界が出来上がるのかも知れない。

 ならば、見てみたい! という男の声が聞こえるようである。

 ただし、女は男に「美しい」「綺麗」「可愛い」ともてはやされることを、何よりの拠(よ)り所にしてお洒落をするわけだから、それは、ただ淫らなだけであって、男が期待するものはとは、ちょっと別物になっている可能性も無きにしに有らずである。

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